月光浴


□episode 8
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「郷。今日は昔からの友達が訪ねてきます。折角ですから、桜色の浴衣でも着たらどうです?」

「父様……。また私に、お茶を出させるつもりですか……」

「バレました?」

「……私は今帰って来たばかりです。正直言うと、部屋で休みたいのですが……。仕方無いですね――」

スルッと帯を解くと、向こうで父様の話し声が聞こえてきた。

どうもお客様が到着したらしい。

「はぁ……。困ったものだね。父様には」

置かれていた桜色の浴衣に袖を通し、合わせを整え、帯を締めようと背中に手を回す。

「覗きか? 先ずは名を名乗れ。俺は郷だ」

驚きもしなかったソイツを気に留めることなく、何事も無かったかのように帯を結ぶ。

無粋なソイツの顔を拝んでやろうと振り返り、この目を疑った。


――金色の髪、紫の瞳……。

「オマエ……女……」

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