目的を果たそうと手を出した瞬間、俺の手首は掴まれていた。 「……兄様? しつこいなぁ……」 「誰がいつから、オマエの兄様になったって?」 反射的に掴む癖がついている栗色に、ふと夜の散歩を思い出した。 あの時、俺は、お師匠様に何かするんじゃないかと、持っていた札を飛ばしてコイツの動きを封じようとした。 次の瞬間には俺の手首に札が張りついて、一瞬だけ息が止まって動けなかった。 「……あ……ごめん。寝言。どした?」 慌てたお師匠様は俺に駆け寄って、張り付いた札を見ると、微笑んだんだ……。 確かに動きを封じられたけれど、すぐに動けるようになった。 最初は深く考えなかったが、一日経っても目覚めないコイツを見ていて、お師匠様が微笑んだ意味が分かった。 俺の、未熟さも。 「二度も言わすな」 |