「朱泱。栗色のガキ見なかったか?」 「あぁ、友達ならさっき廊下で会ったぞ。でも、二時間ぐらい前だ」 「あのバカ、何か言ってなかったか?」 「いや……水晶の話をしたくらいかな」 「体、痛いとこ、ないか?」 「……ない。」 「本当に?」 「しつこい。」 薄茶の瞳が心配そうに俺を覗き込むと時間が止まる。 その透明な色に、今なら何を言っても素直に言う事を聞くんじゃないだろうかと思った。 そして何故だか、無意識だろうコイツの上目遣いにドキッとする……。 朝の出来事に、また、ドキドキしだした。 それから数時間が経って、窓から月明かりが射し込む。 |