月光浴


□episode 5
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ふと白い肌を思い出していた。


――帰ったんだろう。

意外に広く感じるものだと部屋を眺めていて、畳んである黒い浴衣が目に入った。

――服を置いて?




パシャ……パシャ……。

跳ね返る小川の水を気にしている余裕がなかった。

暗い山で迷子なんて、ありえない。

野生の熊なんかに出会ったら命はないだろうし、アイツはここの育ちじゃないから、遭難したのかもしれない。

――ここを通った方が、近道だ。

「ハァ……ハァ……。ッ……」

――俺は何で走ってるんだよ……。

草木が体の至るところに容赦なく当たる。

もうすぐ辿り着くと思うと、焦る気持ちが俺を加速させて、痛みなど感じなかった。



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