月光浴


□episode 5
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無意識に音のしたほうに目をやると、ゆっくりと水面に上がってくる白い衣。

その優雅さは、神の存在を認めてしまいそうなほど神秘的な光景に見えた。

――湖の精とか? 有り得んな……。

茶化しても感情は乱れたままで、胸が苦しい。

パシャ……パシャ……。

衣に向かい進んでいく俺は、どこかオカシイのかもしれない。

水の中だということも忘れ、呼ばれるように、その場所まで歩いていく。

パシャ……。

胸まで湖に浸かれば、音が鳴るのは俺が進むからではなく、何かが音を立てたからだった。


立ち止まった俺の前で、白い肌が浮かび上がる。

それを引き立てるような薄紅の唇。

ゆっくりと開く、薄桜の瞳。


「……やっぱりオマエか」


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