月光浴


□episode 6
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そうやって尤もらしい理由をつけて、アイツが消えてしまいそうな不安な気持ちを誤魔化していた。

慌てて上半身を起こして部屋を見渡すと、廊下から聞こえてきた人の声。

楽しそうに笑うのは栗色だ。

真夜中に聞いた声とは違う子供らしいソレが窓越しに聞こえて、どこかホッとする自分に気づいた。

無駄な事を色々と考えていたら、寝顔を見られた事実にムカムカしはじめる。

コレ以上後れを取るまいと、畳んである浴衣に手を伸ばした。

「まったく……。あのバカ」

帯を結ぶと栗色の足音が聴こえてくる。

俺の身支度が終わるのは、栗色が戸を開けるのと同時だった。

「江流! 今日は忙しいんだろ? 庭を掃いて、廊下拭いてきた!」

「オマエなぁ。……そういうのは俺も起こせよ」

「悪い……。早く目が覚めて、暇だったもんだから、つい。」

「つい、じゃない」


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