月光浴


□episode 6
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寺を出れば、栗色が伸び伸びとしているように見えた。

「今から行く町は、寺での生活で必要な物を買いによく行く、……。オイ……聞いてるか?」

「……わぁ……。凄く綺麗な植物……あ。見慣れない鳥がいるっ! 小さいし、ヘンな飛び方してるっ。あの雲のカタチって龍みたい――」

町の話をしようとすると山道の方が気になるらしく、植物や景色の話にすり替わってしまう。

「オマエは自然が好きなんだな」

俺が皮肉交じりに言ったセリフにすら笑顔で返す栗色は、陽の光のように眩しく見えた。

そんな顔ができるんだから、ずっとしとけばいいのに、と足元を見る。

地面を見ていた俺に気づいたのか、栗色の言った意味を理解するのにそう時間はかからなかった。

「町まで移動してあげたいけど、今日は徒歩だな。」

俺ら二人だけで外に出されるはずはないし、誰かがついてくるはずだ。

――コイツ。まるでわざと、踊らされているような……。


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