月光浴


□episode 6
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案の定だった。

道ばかり見ていた俺に掛けられた次の一言に、耳だけでなく、すべての感覚を奪われる。

「……ありがと、江流。……俺の為に、してくれてるんだろ?」


顔を上げても、栗色の笑顔はいつもと変わらない。

でも、解る。

心の底から笑う笑顔は、もっと素敵だ。


「……ちょっと心配なんだよ。江流の居場所の、居心地が悪くならないか……。俺にかかわったばっかりに、風当たり悪くないか?」

「ハッキリ言うが。オマエの面倒を見るなんて御免だ。だけど、勝手に体が動いちまうんだから仕方ない。」

「……ヘンな奴だな。お前って。」

「勿体無いと思ったんだよ。オマエ、強いのに」

「……強い、か」

俯いてしまう栗色に、俺の言った意味が正しく伝わってないんじゃないかと思ったが、寺が違う手前、言って良いのか悩んでしまう。

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