月光浴


□episode 6
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金山寺でなら、コイツが次の三蔵法師に選ばれそうなのに、と。

「無駄話は歩きながらにするぞ。他の奴に見つかると面倒臭い」

「りょーかい」

寺に近い山では修行しているだろうから、ケンカを売る奴らに見つかる前に抜けてしまおうと思った。




「来た……。」

栗色はそう言うと、目を細める。

集中している証拠だと分かるのは、コイツの纏う空気が神域に入った時と同じ感覚になるせいだ。

動かない彼は神経を張り巡らせて、細心の注意を払っている。

物音に集中しているんだと瞳を閉じた栗色に気づいて、指先すら動かせなかった。


「なんでかなぁ……。使いたくないんだよ、オ、レ、は――」

「ッ!?」

栗色は茂みから襲いかかる妖怪に眉ひとつ動かさず、風を使い、吹き飛ばす。


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