酒は如何なものかと思うが、お師匠様が一人ではないことに綻ぶ口元。 ああいった楽しそうな酒なら良いのではないかと思えて、こうやって一人、慣れない寺で時間を潰している。 見上げた空は、あの日のように雲が闇を深くしていた。 「あの……。郷は何処にいるか、ご存じありませんか?」 「あぁ、独房だろう? そこの突き当たりだよ。あまり近づかない方がいいと思うけどね」 「独房……?」 ――寺の皆の、反応がオカシイ。 同じ寺の僧なのに、まるで金山寺での俺と同じ扱いだなと感じながら、言われた部屋の前まで来ていた。 「郷。入るぞ」 ガタッ。 戸に手を掛けると普通のことのように引こうとして、外から鍵がかかっている事に気づく。 ――ッ!? 何なんだ、コレは。……これでは本当に、独房だろ……。 |