短編

□ 夢見るプリンセス〜蛹が蝶へと変わる時〜
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私には大好きな幼馴染がいました。


同じ歳でぼさぼさした灰色で色素の薄い髪の、笑顔が眩しい男の子。
責任感が強く、捨てられた動物や怪我をした動物を見つけては無断で家に連れて行き、叱られても「一度飼ったものは最後まで面倒をみるのが人として当然だ!」と意地でも自分の意思を通してた。


どこか意地っ張りで負けず嫌い。けれど面倒見のいい所がある、そんな子。

生まれた時からいつも一緒で、臆病で泣き虫な私の手を引いてくれ、守ってくれた男の子。



小さな頃から貴方は泣き虫な私の手を引いて前を歩いてくれたよね…





夢見るプリンセス〜蛹が蝶へと変わる時〜 (Heroine side)





ホールの熱気、鳴り止まない熱い声援、舞台裏の緊張感。
今まではテレビ超しでしか知らなかった芸能の世界。


夢にまで見た東京の巨大ドームでの大ステージ。


この世界に飛び込まなければ知り合わなかっただろう同じグループのどこか素直じゃなくて照れ屋な八神玲名と関西弁を話す姉御肌な浦部リカ。それにこんな私をスカウトしてくれた社長と心配性で心優しいマネージャーの諸泉尊奈門さん。

一女子高生だった私に雑誌モデルの玲名と浪花の女子高生お笑い芸人のリカ。今ではすっかり仲の良い私達であるが、三人とも元は所属していたグループや出身、性格が丸っきり違うメンバーであり、芸能界で歌手活動を始めなければ絶対に出会わなかった人達だ。
そんなバラバラな三人を一つに纏め、出会わせてくれたのがマネージャーさんと社長である。
それぞれタイプの違う三人の女の子を御伽話の主人公に例え、「夢見る女の子は誰だってお姫様になれる」をコンセプトにグループ名を〃FairyTail〃と社長が付けてくれたのだ。



幼馴染である竹谷八左ヱ門…、はっちゃんから逃げる様な形で歌手活動を始めたんだけど、不思議と後悔は全然していない。
幼馴染から自立して自ら一歩踏み出さない限り、私は自分で何も出来ないままはっちゃんの背中に隠れ、頼りきっているだろう。
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