ジャ忍ズ

□MCいやいや、AC
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「なぁなぁ、仙蔵
ボイパボイパ!!」


頬を染め、いつもとのテンションの差に
ギャップのある留三郎は
手でマイクを持つ仕草をしながら
ボイパを成功させていた。


「わぁぁ!!
留三郎、すごいじゃないか。」


そのボイパに仙蔵は反応しないが
包帯をくるくる巻いていた伊作が
目を輝かせた。


「だろう?
自主練しまくったんだ。
ところで伊作、その包帯どうするんだ?」


「あ、これ?
今巻いてるのは歌いながら
客席に投げるやつ。
SMOPなナカイ君がさ
トイレットペーパーマンって歌
歌ってるのは知ってるでしょ?
その時、トイレットペーパーを
凄い投げてたり、ビリビリにしたり
してるのみて、僕もやろうかなって。
流石にビリビリにはできないけど。」


「じゃあ、そっちのは?」


「これは、もう少ししたら
わかるからそれまでのお楽しみだよ。」


目を細め、にんまりと笑う伊作は
そう言うとまた、包帯を巻いた。


「ここで、ターンしてドーンして
三回転ジャアアアンプ!!!
そして、いけどぉおおん!!
いけどぉおおん!!!!
いけどぉおおん!!!「小平太、後半から
けどんしか言っていない。
てか、バックでは歌を歌っているんだから
口を開くな。」



「おう、頑張る!!!
よし、留三郎。
合わせないか!?」


「俺のボイパについてこれるか!?」


「私を誰だと思っている!?」


そんな二人は
部屋のど真ん中で
踊り歌おうとした。


それだと迷惑だということで
仙蔵は二人を部屋の隅っこに
追いやった。


「さて、文次郎。
続きをしようか。」


「お、おう。
なぁ、仙蔵。
ここの動き、な、なんか…
厭らしくないか?」


「ん、そうか?」


「な、なんつーか…
腰振ってるみてぇーじゃねぇか?」


「ふん。
恥ずかしいのか文次郎?」


「い、いや、そうゆーわけじゃ
ねぇーんだがよ。」


「嘘をつけ。
顔が赤いぞ。」


「これは、ちげーよ!!!
暑いんだよ!!!」


「文次郎、ひとつ教えてやろう。
この曲の、ここ。
ここのポージングは正しく大人の色気。
フェロモンを発するのだ!!!!
見ていろ、ここは、こうして、こーきて、
こうだ!!!!どうだ、フェロモンを
感じただろう?」


「えっ……あっ、まぁ……。
せ、仙蔵。
お前、どうした?」


「何が、どうした、だ。
私は文次郎のフェロモンが
足りていないから手本を
見せてやっているのだ。
よし、今度は一緒にやるぞ。」


「お、おう。」


マジかよ。
そう思ったら文次郎は
口には出さない。


隣で30分近くずっと
同じ体制の長次を横目で見ながら
文次郎はため息をついた。


その頃、息絶え絶えの留三郎と
ニコニコしながら汗を拭う
小平太は、長次をじっと
見つめていた。


「なぁなぁ、留三郎。
長次、すげくね?」


「あ、あぁ…。
すげい、すげい。」


「すげいって何だよ。」


「悪い、流れだ。」


「ちょーじぃー。
疲れないか?」


小平太は、長次をツンツンと
突きながらそう言った。


「つかれる。
だが、ロボットになりきる。」


長次は、もそっと言いながら
ガシャンといい効果音の似合う動きをした。


「「おぉおお。」」


それを見る二人からは
歓声がわいた。


その時、笛の音が部屋に響き渡った。


「これから、MCについて
考えたいと思うから、真ん中に
集まってくれるか?」


みんなが、円を描き真ん中に座る。


仙蔵は一枚の白紙の紙と
ボールペンを取り出し

「MCについて、だ。
みんな得意だろ。
ネタを寄越せ。」


そう言った。


「AC。」


「うるさい、小平太。
ACではない。MCだ。
ポポポポーンネタは寄せ。」


仙蔵がぴしゃりと言えば
ちぇっとした顔をした小平太だった。



「俺ら、ネタなんてなくても
喋れるだろ。」


文次郎は、自信気に言ってのけたが
仙蔵は、それに対してため息を漏らした。


「確かに話せるが、歯止めが
きかなくなる。」

「MCの時間は?」

「だいたい30分前後だな。」

止まんねぇ、みながそう思った。

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