日和日和。

□約束
2ページ/2ページ






そして今。



二人は朝廷の裏にある深い森の中を走っていた。

「大丈夫ですか、太子!」

「ああ、何とか…」

どんな事が起ころうと、自分はこの人を守らなければいけない。
命を懸けても。

まだあそこまで距離はあるが、ここまで来れば大丈夫だろう。


そう思った瞬間。



「!!」



目の前に立ちはばかる様に現れた男達。


反乱分子か…


「待ち伏せてたみたいですね」
「え…コレ、どうすんの!?」

鍬や鉈、中には刀を構える者もいた。

「太子は先行って下さい。僕はここを片付けます」

そう言い刀を抜く。

黒い色の刃の中に光が当たって美しい赤が見える。


妹子の色。


「この森の奥に小さな小屋があります。覚えているでしょう?」

昔二人で見つけた古い小さな小屋。

隠れ家にして、二人で内緒で遊んだ思い出の場所。

太子は今でもしっかり覚えていた。

「一人でもいけますよね?」

「しかし一人でこんなに…」

ざっと見ても10人はいるだろう。
こんなに多くの人間を一人で片付けるのは無理があるだろう。

「僕は大丈夫です。太子に心配されるほど弱くないですから」

太子ににっこり微笑む妹子。

しかし―――…




「太子」







太子の体を抱きしめ、そのまま唇を重ねる。







「…帰ったら私にカレー作れよ」


「…約束しますよ。」

太子はさらに何か言おうとしたが、
妹子は既に大群に向って駆け出して行った後だった。



「妹子…」




無理するなよ。




そう呟き太子は小屋へ走った。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ