日和日和。
□約束
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それはあまりに突然すぎた。
「太子、しっかりして下さい!」
「ちょっ…速い…」
三日前のこと。
いつものように妹子は机に向かって書類整理、太子はその横でおにぎり(つなっぽいど)を食べていた。
いつもと同じ、他愛もない会話。
「ったく、少しは仕事しろってんだ。もう…」
「私は偉いから仕事をしないもん。」
「そんなんだから嫌われるんですよ」
「お前こそ固すぎるからもてないんだ、この仕事マシーンめ!!」
「なっ…それだったら太子は…」
その瞬間、凄まじい爆音とともに部屋に入り込んできた風に襖が吹き飛ぶ。
妹子はとっさの判断で太子を庇う。
「大丈夫ですか、太子!」
「し…心臓止まるかと思った…」
「太子!」
そこへ馬子が駆け込んでくる。
どうやら重い税に不満を持った一部の民衆が武器を手に取り押しかけて来たらしい。
確かに最近増税ばかりで人々は税を収められず自分の生活もままならずにいた。
それをなぜ止められなかったのだろうか。
だが原因が何であろうがとりあえず今は太子の身を守ることが優先だ。
「行きますよ、太子」
太子の手をひいて妹子は裏口から朝廷を飛び出していった。