日和日和。

□約束〜終わり〜
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「ちょっ…あんま動くな!」


「いだだだだっ!アンタ傷の手当てもろくにできないんですか!?」


ここは都の宮廷。

あれから5日たった。

結局馬子さんが反乱組織の頭首と会談して
なんかこう、いいカンジの協定を結んで事はおさまったらしい。

おかげで宮廷も一部損壊しただけで済んだし。
何よりも妹子も無事でよかった。

それにしても…

「あの時妹子ってば大胆な事したな。大勢の前で」

「…何の事ですか」

思わずニヤけながら妹子を茶化す。

「またまた惚けちゃって〜覚えてるでしょ?言っちゃうよ?良いの?」

「…何をですか」

「妹子が私に思いっきりキ…どべしゃあっ!!!」

妹子のラリアットが直撃。
床にめり込む。

「何するんだおまぁっ!」

「すいません、手が滑りました」

大怪我を負っていてもこの威力。
さすが私が遣隋使に選んだ男。

「いや、今の明らかに狙って…」
「あ、昼食の時間だ」

傷まみれの体を引きずりどこかへ向かおうとする妹子。

「ごまかすな!待て、芋!!」

「待ちませんよ。今日は僕が太子にカレー作らなきゃいけないので」


五日前の約束。


でも私は妹子の後を追う。

「待て妹子。私も作るぞ」

「良いですよ一人で。邪魔なんで」

いかにも嫌そうな顔をする。
そんなに嫌か。
しかし私は引き下がらなかった。


「一人で作らせたら何入れるか分からん。それに…」




妹子の耳に口を寄せ、囁く。



この芋、呆れたというような顔をしてから言った。

「太子こそ墨汁とか変な物入れないでくださいよ」



「分かってるよ。その代わり、私の愛情を入れてやろう」


要りません、って怒られると思ったらぼそりと言い返された。








「…大盛りで。」















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