第1章
□プロローグ
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「今日も良い天気…。」
私――春風 涼華は、縁側で空を見上げていた。
快晴までいかないけれど、真っ青な空に白い雲がよく映えていて、見ていて清々しい気分になる。
「さてと、そろそろ準備しようかな!」
昔、友人に『何でそんなに早起きなの』と聞かれた事があった。
なんともなしに目が覚めてしまうのだけど……こうやって朝の空気を浴びると、気分が清浄になる気がするのだ。(因みに今は、午前5時である)
…まぁ、只の寂しがりやなのかもしれない。
この家は、和風のお屋敷なのだが、住人は私一人。
広い空間に一人になると、無意識に体内時計が早まるのかもしれない。
…そう言ったら『普通逆でしょ!?』と言われたけど。
ここは、日本の中でも田舎に属する場所である。とはいっても、生活面で苦労することはない。
私の家は街から離れて、小高い山中にあるので自然も多く、海も結構近場だ。
…昔は色々あったけど、今ではお気に入りの地だ。住めば都、というところかな。
(まず千夏ちゃんの所に行かないとね)
家に鍵を閉めて、山…というよりは丘を下っていく。
春の陽気の中、上機嫌で私は歩いていった。