第1章

□第1話 お尋ね者の風来坊
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「ちょっと待ってくれ!そこのお嬢さん!!」





 ………?





 私は一旦振り返って、声がした方を見た。少し遠くからこちらに向かって一直線に、男の人が走ってきていた。
 あ、やっぱり呼び止められてたのは私だったみた………………い?

 男の人はホッとした表情をして言った。

「ふ〜良かった、止まってくれた…ちょっと待っててくれるかい!?聞きたいことがあ『『不審者――――――!!!』』……!!?」






 男の人の後ろから、多くの人がドドドドドドッと地響きを立てながら、全速力で彼を追いかけてきていた。

「観念しろぉぉおぉ――――!!!」

「ゲッ!!?しつこいよ、お兄さんたち!!大体、俺の何処が不審者ってんだ!」

 大声で言い合っている内、追いかけられている男性を見る。



 茶色の髪はとても長く、髪止めに大きな羽根が付いている。
 黄色中心の服は見るからに派手。只でさえ体は大きいのに、余計目立つ。
 そして、背負っている身の丈程のものが何かと思ったら、鞘に収まった刀だった。………お、大きい…あんなに大きいのは初めて見た………………って……。





「きゃ――!!?」

「…ってお嬢さん!!?待ってくれって!!」

「いやっ、あなたの後ろを見たら逃げたくなります――――!!!」

 血眼の人々
 ↓
 派手な男性
 ↓
 私

 「↓」は、進行方向である。つまり、大量の人々が土煙を上げてこちらに向かってきている。

「ごめんなさい!用事は私が生きて帰れたら聞きますので!!今は逃げさせて下さいっ!!!」

 …あれ、あの人のおかげで追いかけられてるんだよね?潔く断れば走らなくてもいいような……アレ?
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