第1章
□第1話 お尋ね者の風来坊
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「弍の十伍世界から消えた確認が取れた武将なんだけどね……まず、奥州の伊達政宗、片倉小十郎の二人…………それに甲斐の真田幸村…………この三人は確実に消えてるみたい。後、猿飛佐助は未確認だけど、十中八九きえちゃってるのは間違いなし。
だから合計四人だね。」
「見事に有名どころが揃ってるな…。」
あまてらすは少し黙ってから、一つ溜息をこぼした。
「…赤色の異変ってことは……まだ他に消えてる武将がいるだろうな。」
「…多分ね。」
「武将が消えたことは、その世界ではどう捉えられてる?」
「人拐いっていう意見もあるけど…何しろ強者ばかりだし、脅迫状も無い。しかもいきなり消えたっていうから、神隠しじゃないかっていうのが一番の意見だね。
信仰深い人が多いからな〜〜。」
「…戦の要因になっていないなら何よりだ………次元の歪みとの関係性はどうだ?」
いざなぎはうっ、と詰まった。
「それは何とも………………あの、さ。」
「どうした?」
「…普通の人間が異なった世界に行く……いわゆる、『とりっぷ』って……あり得ると思う?」
「…実例が無いだろう。」
暫く考えた後、彼は口を開いた。
「世界と世界を行き来できるのは、俺逹か、お前の部下位なものだ。」
「…だよなぁ〜。」
「何なんだ、いきなり。」
「やー分からないなりに色々考えてみたんだけど。いきなり人が消えた、いわゆる神隠しは、もしかしたら…。」
「…武将逹が今、違う世界に居るかもしれない、と?」
「まぁ、予想の範疇を出れないけどね。」
「…『とりっぷ』……なぁ……。」
あまてらすの中には、嫌な予感が渦巻いていた。
「よ〜し、今度は君を強くするよ!ひよこちゃん!!」
「…い〜ざ〜な〜ぎ〜〜〜〜〜……?」
「…はっ!!?いや、これは、だいごさんに勝つための大事な―――」
「てんめぇ、いい加減にしろぉぉぉ―――!!!」
「うわあぁぁあぁ!!?炎ひよこちゃあぁぁぁん!!!」