ONEPIECE 小説

□4.小さな団欒
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「あ゛ぁああ〜……」



 甲板に悲痛な呻き声が響く。



 天気は快晴。波も穏やか。

 …そんな快適日和に似つかわしくない、どんよりとした空気がその船には漂っていた。


 特に船長が、だが。




「腹減ったぁあああ〜〜〜…」




 こんにちは。

 なんやかんやで麦わらの一味の居候となってしまったアクラです。


 海賊と同乗すること自体、僕にはあり得ないことだったのですが……




「め〜しぃ〜〜…」

「うっせぇよルフィ!!!余計に腹が減るわ!!!」




 ……はい。

 お察しの通り、ただ今この船は食糧不足状態に陥っています。



 …まさか居候となった矢先にこんな事態に遭うとは思いもしなかった…。





「(日頃の皆さんの食べっぷりじゃ無理もなさそうな気もするけど…)」


 皆さん、と言うには語弊があるか。

 麦わら船長さんと言い換えておこう。




 そう考えている内に、感じた視線。


 振り向くとそこには憔悴した船長さんが……。



「なーアクラー」

「ど、どうしました?」

「…その飯お前んのか?」



 彼が示したのは、僕の手元のあったおにぎりだ。



 黒足さんが女性陣にだけこしらえてくれた、残り僅かな食糧。


 …こういうときだけ自分が女であるのを認める自分が、かなり複雑だ…。
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