NOVEL

□一時の闇に潜む真
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―此処は…?

何も見えない暗闇。見渡すかぎり光一つない。
漆黒の中に独り、行き場もわからず立ちすくんでいた。
闇には慣れている。…慣れているはずなのに。

―何故、動けない?

声に出してみるが、聞こえない。
呼吸のように空気に溶け込み耳には伝わらない。
息が苦しい。唇が乾燥している。暗闇に惑わされ頭が痛くなる。唾を飲み込んでみる。

―落ち着いて状況を…。

再び辺りを見渡す。
この闇はどこまで深く重いものなのだろう。
俺が動けなくなるほど、頭を抱えたくなるほど…濃い闇なのか。
分からない。
誰に問い掛けたいとも思わないのに、疑問ばかりが渦巻く。
ダメだ。このままでは闇に飲み込まれてしまう。
飲み込まれて…戻れなくなる。

―戻れなく?…何をいってるんだ。俺に帰る場所なんて…。

『…ミ…ネズミ。ネズミ』

―コレは…

『ネズミ。』

―紫苑?




―一時の闇に潜む真―
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