novel

□勉強会 赤リョ
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すると、リョーマの顔にふっと影が落ち、赤也の顔が息を感じるほどの距離まで迫っていた。

「…っ?!」

「いってぇっ!!」

突然のことに驚いたリョーマは、反射的にバシッと赤也の頭を叩いた。
めちゃくちゃ綺麗に決まったそれに、赤也は一瞬硬直する。

「あ…ゴメンナサイ…。だいじょ「なわけあるか!!なにしやがんだ!!」」

リョーマの謝罪の言葉を、うずくまっていた赤也はくわっと顔をあげて遮った。
珍しく自分が悪いと思って謝ったのに食ってかかられて、負けず嫌いな性格が赤也の言葉に言い返す。

「それこっちのセリフじゃん!!
赤也さんこそ突然なにすんだよ!!」

「何ってキス。」

「さらっと悪びれもなく言うな!!」

「なんだよ、アメリカじゃ挨拶みたいなもんなんじゃねーの?」

「ここアメリカじゃないし…!!」

赤也の開き直ったような台詞に顔に血が上ってくる。
じっと見つめられる視線に耐えかねてリョーマは目を反らす。
しかし逃げた先にも赤也の視線は追いかけてきて、紅潮した頬はさらに温度を上げた気がした。

「ね、キスさして。」

「なんで…。」

「したいから。」

したくない?と赤也はリョーマを覗き込みながら訊ねる。

「……。」

ぱしぱしと、雨のあたる音がする。
リョーマも別に嫌なわけではない。
恥ずかしさが先に立ってしまうだけのことなのだ。
しばらく何もいわずに見つめ合っていると、赤也が手を伸ばし、リョーマの頬に触れてきた。
愛しむようにそっと撫でると、唇を耳に寄せて、

「沈黙は了承ととります。」

と囁やき、頬にあった指をすっと顎に引っ掛けて微妙に持ち上げる。
そしてゆっくりと口づけた。
流石のリョーマもここまできて抵抗することはなく、素直に受けとめる。

「ん…。」

お互いに少しだけ口をあけて、舌を入れたりしてみる。
そんなことをしても、いつも結局すぐに離してしまう。
恋愛経験で豊富なこなれているわけではないのだ。
それでも精一杯、背伸びしている。
口づけを解き、赤也はリョーマに笑顔を向ける。

「顔、超まっか。かーわいー」

「うるさいっ!!もう英語教えてやんないよ?」

「それは困るっ!!」

くだらない掛け合いに、どちらからともなく吹き出し、笑う。
しとしとと蒸し暑く降り続いていた雨は上がり、爽やかな風と青空が木々を揺らし、きらきらと輝かせていた。
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