裏のお部屋
□積極的と消極的
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「おーい、新八ぃ、神楽ぁ。帰ったぞー。」
夜9時、いつもなら「おかえりなさい」と律儀に返事をしてくれる声がない。
「…?いねぇのか?」
しかし部屋には灯りがついている。
かすかに人が動く気配に木刀へと手を滑らせた。
「よォ。」
「…晋ちゃん?」
居間にいたのは見知った顔…というより恋人。
しかも何故か着物をいつもよりはだけさせている。
「何してんの?というか寒くないの?」
「あ?お前の帰りを待ってたんだろーがよ。」
軽く睨まれた後、ソファーに腰掛け上目遣いでこちらを見てきた。
「…ガキ共は妙とかいう女のとこいったぜ。」
「あ、そう。あー、何か食べる?酒あったかな…。」
何か買ってこようか、と口にしかけると機嫌が悪そうな声がそれを遮った。
「オイ、他になんかねェのか。」
「うーん、何も買ってねぇからなー。買ってくる?」
「そういう意味じゃねェよ天パ。」
今天パ関係なくね?
若干ムッとしつつ「じゃぁ何よ。」と晋ちゃんに向き直った。
「俺を見て何とも思わねぇのか。」
晋ちゃんを見て?
前髪切った?…女子かお前は。
うーーん……あ。
「寒い?コタツ付けようか?」
すると晋ちゃんは呆れたようにため息を溢した。
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