銀高シリーズ集

□猫との生活始めました
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猫を拾いました。

正確に言うと、猫の耳と尻尾を生やした少年を。


10歳くらいだろうか。まだ幼さが残る顔をしていた。



「どーすっかな…コレ。」


雨に濡れてうずくまっていたから連れてきたものの…



「風呂入ってけよ。廊下出てすぐそこだから。」


「…フロ?」


「うん、風呂。寒いだろ?」


「フロってなんだ。」


キョトンと俺を見つめ返す緑色の瞳。
どうやら風呂を知らないらしい。

…どんな生活送ってきたんだよ。


風呂の説明をしてやると、途端に顔を歪ませた。


「…水は嫌いだ。」



「じゃぁタオル取ってくるから。待ってろ」


「嫌だ。」


「……。」


「…一人にすんな。」


「…わかった。」






これが、晋助と俺の生活の始まりだった。



「もう晋ちゃんが来て1年だよ。早ぇなぁ…。」


俺の膝に頭を乗せてじゃれてる晋助に声をかける。


「お前の天パと出会って一年か…」


「そっち?本体は?晋ちゃんにとって最初に出会ったの髪なの!?」


「あの時は、でかかったからなァ。」


「何が?あ、身長?小さいもんね。」


「あぁ?噛みつくぞ。」


こんな他愛ない会話をするのも、あとどれくらいだろうか。



まぁ、とりあえず。


「明日買い物でも行こっか。晋ちゃんのキャットフード買わなきゃ。」


「あんな安モンの不味い飯食えるか。鮪買うぞ。」


「贅沢言わないの。」




猫と生活、始まってます。





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