銀高シリーズ集

□ケンカだってします
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家の隣にムカつく奴がいる。


隣の家には、近藤とかいうゴリラと、吠え癖の酷い土方って奴と、腹黒の沖田って奴がいる。

俺がムカつくのは沖田。


二年前、銀時に拾われてからコイツは俺が気に入らないらしく、睨み付けてくる。

それに加え、嫌がらせしてくるコイツは本当にいけすかねぇ。




「晋ちゃーん、聞いてますー?…え?反抗期?」



今日も俺は銀時の膝に座って陽射しを満喫する。

銀時が何かうるせぇが毎度のことなので無視。



すると、刺すような視線が向かってきた。






またか。



隣の庭から沖田がこっちを睨んでいる。


俺の何が気に入らないのかが知らねぇが、俺の時間を邪魔するならただじゃおかねぇ。

尻尾を逆立てて威嚇してやると、向こうも負けじと歯を剥き出して唸る。





「…あのさ、お前の尻尾でジャンプ読めねーんだけど。」



ため息を吐いて俺を膝から下ろす銀時。

オイ、ちょっと待て。


沖田を見ると、ざまぁみろというように腹立つ笑みを浮かべてやがる。



「銀時、どこ行くんだよ。」


「台所。昼飯作ってくるわ。」


台所へ向かった銀時を確認して、にやけてるバカ犬に飛びかかった。



「テメェ…毎日毎日うぜぇんだよ。」


「そりゃ悪かったでさァ。旦那の膝で呆けてる馬鹿面見てるとついからかってやりたくなるんでねィ。」


誰が馬鹿面だ、死ね。


「毎日ご苦労なこったな。
だがな、次邪魔したらテメェの尻尾噛み千切るぜ?」


「やってみろィ。その前にテメェの耳を噛み千切ってやりまさァ。」


胸ぐらを互いに掴みあって威嚇し合う。


「年下の癖に本当に生意気だな。可愛くねぇ奴。」


「年上のくせにチビな凶暴猫に言われたくないでさァ。やーい、チビ。低杉小助。」


「あぁ!?テメェ俺と背ェ変わんねーだろーが!
ゴリラに叱られて泣きベソ垂れてんのはどこのどいつだ、あぁ?
図体は変わらなくても中身はガキだな。」


「オイ、テメェ表出ろィ。ぶっ飛ばしてやりまさァ。」


「ここが表だバァーカ。
上等だ、今日こそぶん殴ってやらァ…。」





「はい、そこまでー。」


ムカつく顔面に拳を叩き込んでやろうと振り上げた瞬間、身体が宙に浮く。


「テメっ、銀時!放せ!」


「放すわけねーだろ。ぎゃんぎゃんにゃーにゃー何やってるかと思って来てみりゃ、またお前らは喧嘩して。」


沖田を見ると、同じようにゴリラに抱き上げられていた。
ざまぁみろ。


「総悟、駄目じゃないか。喧嘩ばっかりじゃいつまでたっても友達が出来ないぞ?」


「放してくだせェ、ゴリ…近藤さん。」


「あれ、今ゴリラって言わなかった?」


「いやー、毎日悪いね、ゴリ…近藤さん。」


「え、またゴリラって言おうとしてなかった?」


銀時、何でテメェが謝るんだよ。


「オイ、ゴリラ。ちゃんとその犬繋いどけ。」


「今言ったよね!?完全にゴリラって言ったよねぇ!?」


「何失礼なこと言ってんのお前は。すいませんね、ゴリ藤さん。」


「ゴリ藤さんって何!?」


一方沖田は、じっと銀時を見つめていた。

…銀時に手を出したらそれこそただじゃおかねぇからな。


部屋に戻る時、小さな声で「チビ」と言っていたのを聞き逃さなかった。



本当にムカつく野郎だ。




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