銀高シリーズ集

□居場所は此処です
1ページ/3ページ



今日は銀時が構ってくれねぇ。

知り合いが来るらしく、俺に猫じゃらしを持たせて忙しく動き回ってる。


「…猫じゃらしってのは一人で遊ぶもんじゃねぇんだよ。あのクソ天パ。」


猫じゃらしを放り投げて庭へ出る。





「クスクス…これで高杉の野郎も終わりでィ。さぁ苦しんで死ねェ〜。」



…部屋に戻るか。

白装束着て庭の木に藁人形打ち付けてるクソ犬がいた気がしたが無視。


ここ数日胸のあたりがチクチク痛むと思ったらアイツのせいだったか。




こうなるとホントに暇だ。
銀時が慌ただしく机を動かしている。




「あー…どっこいしょっと。」


「……じー…。」


「……なぁに晋ちゃん。そんなに見つめられると銀さん照れちゃう。」


「…準備、いつ終わる?」


「んー…あともう少し。」


「……10分前にも言った。」


銀時が困った顔をしている。
別に困らせたいわけじゃない。

でもやっぱり………寂しい。



「まったくも〜。晋ちゃんはいつまで経っても子猫ちゃんでちゅね〜。」


「喧嘩売ってんのか。」


「よし、それじゃ手伝ってもらおうか。
机拭くから布巾取ってきて。」


力強く頷いて、台所に走る。
シンクの横に手を伸ばして布巾を取り、銀時の元へ早く早く、




とててて…べしゃっ




「晋ちゃぁぁぁあああん!!??」


直ぐに銀時に抱き起こされたが、鼻に違和感。



ダァー…


「うおっわ、鼻血!とととりあえず上向け上!あ?上は向いたらいけないんだっけ?ちょっ、ティッシュティッシュ!」


別に鼻血なんかどうでもいい。


「銀時。」


「どうした!?よーしよし、泣くなよー、痛かったなー。」


「布巾…血付いちまった…」


「あ?いーよ、そんなもん。他に怪我してねーか?準備終わるまでそこ座ってなさい。」


あぁ、まただ。

手伝うどころか邪魔しちまった。
痛む鼻を押さえて布巾を見つめる。


血くらいは落とそうと、洗面所に行って布巾を洗うがなかなか落ちない。

残った染みは洗剤を使えば落ちるだろうが洗剤の在処がわからない。

そこで始めて、俺は銀時に全て頼りきりだと気づいた。


嘲笑うかのように変色した茶色の染みはちっとも落ちてくれない。




「なぁーに泣いてんの?」


顔をあげると銀時がいた。


「ぎ…っとき…。」


知らぬ間に目に溜まっていた涙を指で落とされた。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ