銀高シリーズ集

□お年頃です
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事件です。

何が事件かっつーと、うん、まぁ事件なんだよ。


「晋ちゃん、風呂入ろー。」


「嫌だ。」





事件の発端はこれ。

猫ゆえの風呂嫌いだから、いつものように引きずってでも風呂入れる準備をしていた矢先に…





「銀時と入りたくねぇ。」



その一言で事件が発生。



「そこに座りなさい。」


「あ?何でだよ。」


「いいから座れ。ななな何で銀さんと風呂入りたくないのかなぁ? べ、別に気にしないけど。」


「動揺してんじゃねぇか。」


声が上擦る俺を半目で見る晋ちゃん。



「とにかく銀時とはもう入らねぇ。」


「何でだよ!ついに反抗期かコノヤロー!」



あれ、てかこのシリーズ始まってから結構反抗期って言ってね?



「俺はもうガキじゃねぇんだよ。風呂くらい入れる。」


「お前アレだろ、風呂嫌いだからだろ。お前絶対ちゃんと洗わねぇだろ。」



そう、晋ちゃんが極度の風呂嫌いだと俺は知っている。



「だから、二年前とは違うんだよ!風呂くらい一人で入らせろ!お前と一緒に入るのは恥ずかしいんだよ!」



その言葉に氷つく俺。

ご機嫌斜めに尻尾を垂らして、晋ちゃんは風呂へ入ってしまった。















泣きそうな顔をして固まったままの銀時に悪い気がしたが、俺はそのまま風呂に入った。



別に銀時と入るのが本当に嫌なわけではない。

今日の昼、隣の家の総悟に言われた言葉。



「その歳で風呂入れてもらうなんてまるで大きい赤ん坊でさァ。こりゃ旦那も大変だねィ。」



その一言に恥ずかしくなった俺は、銀時と風呂を入ることを止めることにした。



風呂上がりにまた問い質されることに小さく溜め息を吐いた。



銀時は俺を子供だとしか思っていねェ。
それは仕方ないことで、当たり前なことなのだが…

何故か気に食わない。


俺の好意と、銀時からの俺への好意は別なのだろう。




もうすぐ8月。
ここにきて三年目の夏が来るのだ。







思春期はいつだって唐突――





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