そううけっ!
□番外編
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【似てない双子と俺】
ほんと顔はそっくりなんだけど。
「似てないよな、お前ら」
俺に対する態度とか、という言葉はなんとか言わずにおいた。言うと後々面倒そうだからな。
「「当たり前だ」」
おっと、ハモるあたりはそっくりだよな。
「双子ってのは総じて仲の良さを前面にアピールするもんだがな」
「じゃーお前は珍しいパターンを見れてるってことになるな」
「おーそうか、サンキュな」
「俺は巽とも蜜とも仲よくしねーけどな」
「おいおい楓ちゃんはつれねーなぁ」
だから楓ちゃんって呼ぶな、とつんけんした態度で楓ちゃんは抗議する。あ、この「ちゃん」呼びは心の声だからノーカンな。
「あらあら楓ったら、嘘ばっかりねー」
「…巽、その気色悪い言葉づかいヤメロ」
「それがね、蜜さん、楓ったら俺といるときねー、蜜さんのことばっかり聞いてくるのよー」
「…た、つみっ!!」
「へー」
巽は近所の奥さまよろしく俺に楓の暴露話を始めた。
それに対し楓は顔を真っ赤にして憤慨した。
こんな掛け合いを見る限り、双子は仲いいんじゃないかなーとか思う。
まあ、巽は楓を弄って楽しんでいるようにも見えるが。
まあ、楓の反応からして、巽の話は本当らしい。
「俺のことって?」
「それがねー「うああああ巽いい加減に…!」あー、ごめんごめん苛めすぎたな」
楓は少し落ち着いたのか、大きく深呼吸をして呼吸を整えた。そこまで知られたくない事実だったのか。というか…
「楓、」
「な、なんだよ」
「聞きたいことあるなら、俺に直接言ってくれればいいのに。つれねーなあ」
「!!こ、の、バ会長!鈍感!!」
「ば…馬鹿とはなんだよ!」
またこのパターンか、と巽は人知れずため息を吐くのだった。
(楓はそんな大人びた弟に憧れ、巽は打算的なところが全くない兄に憧れている)