そううけっ!
□第一章
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転校生が来る。
これは生徒会の出番ではないだろうか。
「そう思うだろ?蒼二!」
きらきらとした顔で微笑む生徒会長のこの顔を見れば、この学園の人間ならば二つ返事で肯定をする。
それがこの学園のルール。イケメンには逆らわないのだ。それが不良チックな生徒会長なら尚更である。
だが、それはこの生徒会では当たり前でもない。
「へぇ・・・で、何をするんです?」
「とりあえず・・絡む」
「・・・はぁ?」
蜜のテンションに比べ、生徒会副会長・夕凪蒼二(ゆうなぎそうじ)の表情はどこか不機嫌である。
不機嫌とは言っても、ほんの一瞬顔を曇らせただけで今は笑顔に戻っている。
蜜は蒼二の不機嫌さを感じ取りはしなかったようだ。
「転校生に絡むって・・・フラグ立っちゃうじゃないですか」
「は?フラグって何だよ」
この人は・・頭良いくせに馬鹿だな、と蒼二は思った。
蒼二は・・・腹黒であった。
けれど、それは決して蜜の前では見せはしない。いつも笑顔であった。
「んだよ・・・クラスから浮くだろうが、転校生ってのはよ」
「・・・ぷっ、それもそうですね。というかあなたが絡んだら余計に浮くのでは?」
「んな訳ねーだろ!俺と仲良くなってるって思われれば、一躍人気者だろ!」
「・・・・そうですね」
思いっきり棒読みで、蒼二は楽しそうにする蜜を見つめながら、紅茶をすすった。