そううけっ!

□第一章
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俺は生徒会長。一ノ瀬蜜。
蜜って名前は正直嫌いだ。女の子みたいだし。
だから昔から男らしくあろう、としてきたのだ。
けれど、興味のないものは興味がない。そういう面もあった。


「あの、生徒会長!頑張ってください!!」
「うるせぇよ!道開けろよ!」


キャーーー!!!

また黄色い歓声。
一見すると笑ってしまうような光景だが、みんな本気だから怖い。
誰が男にキラキラした目で見られて嬉しいんだよ。俺はノンケだ!
なんで睨まれたら喜ぶんだよ。ドМの巣窟かここは!
まぁ、こんな生活にも慣れてきたのだが。それがなんだか恐ろしい。
ノンケという言葉も知りたくもなかった。
しかし周りの人間が知りたくもない知識をいろいろ教えてきたのだ。自分を守るために知っておいた方がいいと言っていた。
なんだそれ・・・そんな学園なのか、とショックを受ける以前に、俺が危険に晒される側と思われたことに心底呆れた。
しかも一人の人間ではなく、俺に関わる人間ほとんどがそう抜かすから、この学園のやつらは少しばかり価値観が違うのだと俺は理解した。


そんな不良チックなルックスを持つ蜜は、男らしくかっこいい、生徒に尊敬される生徒会長になろうと、努力を日々欠かすことはない。
それは生徒になめられないようにした為であったが・・
道を歩けばキャーキャーとうるさい野次馬。
対応するのも面倒で、そのままにしていたら親衛隊まで出来てしまった。
なんでも、会長は私たちが護ります、とかなんとか。
俺は男なんだから護られるなんて真っ平御免だが、羨望の眼差しで見られるのも悪くない。
親衛隊と言えば、もちろん他の生徒会役員にも親衛隊はいる。



だから生徒会役員・・ましてや生徒会長が転校生に構っては、その転校生が親衛隊の標的にされるのは目に見えているのだ。




「そこのところはどうするんですか」
「大丈夫だろ。こいつなかなか骨がありそうだし」
「・・・」


根拠はどこにあるのか・・・と蒼二は思ったが、言わないでおく。
そんなに蜜が興味を持つ転校生とやらが気に食わないからである。


「蒼二は優しいな。俺なんか興味本位だぞ」
「そんなことないですよ。会長の方が優しいじゃないですか」
「はぁ?!なんでそーなんだよ」
「だって転校生のこと、考えてのことなんでしょう?」

それに、すごく美人ですしね。
その笑った顔、すごく好き。


蒼二は生徒会副会長として、蜜に協力することにした。自分も興味本位であることは間違いないのだから。


「お前・・・いつからそんなコワイ笑顔するようになったんだ」
「あれ、笑顔がコワイなんて、会長冗談が過ぎますよ」


ほらね、会長は面白い人だ。
蒼二は会長ににっこりと微笑んだ。
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