そううけっ!

□第一章
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「なになに〜みっちゃん今度は何するの?」
「ひっつくな!暑いだろうが翔!」
「ええ〜」


そう言ってしぶしぶ蜜から離れたのは会計の三橋翔(みはしかける)。緩い金髪のパーマを鬱陶しいくらいに軽く伸ばした、所謂チャラ男である。
やたらとスキンシップが激しく、蜜はいつもその標的にされている。

「三橋。いい加減にしたらどうですか?会長、嫌がってるのも分からないんですか」
「ん〜?てかさ、みっちゃんは嫌がってないし〜。
 あ、蒼ちゃんったら・・羨ましいんだ〜蒼ちゃんもすればいいのに〜」
「ふふふ、冗談は顔だけにしてくださいね」

翔と蒼二の罵り合いは蜜にはよく聴こえなかったが・・・険悪な雰囲気になっていることだけは分かった。
何より二人の表情が一切崩れない笑顔であることが蜜を恐れさせた。


「・・・・」
「・・・・」

しばらく無言の2人。
どうしようもなく気まずい。


「はぁ・・2人ともどうしてそんな険悪になるんだよ!喧嘩すんなみっともねぇ!」
「はい・・」「はぁ〜い、みっちゃんがそう言うならやめる〜」

蒼二と翔はいつもこうだった。顔を合わせれば互いに皮肉を言い合い、それをなだめるのが蜜の役目になっていた。
本来ならば同じ役員同士、仲良くすればいいものを。
なんでこいつらはいつもこうなんだ・・・蜜はため息をついた。


「蜜ちゃん、俺も混ぜてくれなきゃやだー」
「はいはい、七海も混ぜる混ぜる」
「わーいやったぁ!」


蜜がよしよしと撫でるのは、書記の木下七海(きのしたななみ)。可愛い容姿に加え、男子にしては小柄でありとても愛想がいいので、蜜は特に可愛がっている。
なんでも七海がこの学園の野獣共の餌食になるのが心配らしい。


((またやってるよ・・・))


その七海を見る冷やかな目の蒼二と翔。
2人は七海の本性を知っていた。
まあ、二人だけでなく、蜜以外の生徒会役員はそれを知っているのだが。



「蜜・・・」
「ん?どうしたんだよ清四郎」
「・・・俺も・・手伝う」


清四郎とは二人目の会計の佐藤清四郎(さとうせいしろう)のことである。
無口で無表情なため、何を考えているのか分からない。

その清四郎が珍しく発言したのだ。それだけで皆驚いたが・・・
おまけに積極的に蜜に協力すると言ったのだ。
その言葉に周りも蜜も驚いた。


「清四郎!サンキュー!」
「「「・・・っ!」」」


とても嬉しかったのか、蜜はいつもは見せることのない年相応の笑顔を見せた。



((((・・・・かわいすぎだろ!!))))



他の生徒会メンバーが前屈みになったのは、蜜は知る由もない。
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