そううけっ!

□第五章
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学校が休みの朝はたいていの人間は二度寝、あるいは三度寝をかましてから起きる。
俺はそういう口で、二度寝が大好きだ。
一方で、俺の同室者は目覚めが早い。

けれども、今日はいつものようにだらだらと起きていては問題なのだ。

そう、いつもとは少し違うから。


「あー…携帯のバイブも結構使えるよな」


まだ眠い目をこすって、起きる。
朝の5時。うん、巽より早く起きれた。
巽はいつも6時までには起きてる。どんな年寄りだよ、まったく。
そんな早起きのルームメイトだからこんな時間に起きる羽目になった。はぁ…


顔を洗って、適当に服を見繕って6時までには部屋を出る。
今日はちょっとしたイベントがあるんだ。

一ノ瀬蜜、男二人で、遊園地に行ってきます。







「おはよーございますっ、蜜先輩」
「超早起きなのになんでそんな元気なんだよ、お前は」
「だって先輩と一緒にデートなんスから、そりゃあ元気にもなるでしょ」
「はいはい。わかったわかった。それにこれはデートじゃねえからな。とりあえず飯食うか、九藤」



今日は体育祭から一夜明けた土曜日。
俺にとっては悪夢のような体育祭の日、この爽やかな男ととある約束をした。
体育祭で不本意にも姫となった俺は、不本意にもそのMVPと一日一緒にいなきゃいけない約束を果たさなきゃいけないのだった。
でも、まあ、その相手が見知らぬ男よりは知り合いであったことを幸いと思う…しかない。

昨晩ベッドの中で必死に折り合いをつけていた。

まあ、ベッドに入るまでに巽の無言の笑顔には少し恐怖を覚えたけどな。
巽の奴…部屋に帰るといそいそと料理を用意して、必要最低限のことしかしゃべらないまま寝ちまったからな。
一体なんだってんだ…?
なんであんなに怖い笑顔が出せるのだろうか。あー…怖い怖い。


そしてベッドの中で九藤からメールが一通。


『明日十文字先輩に見つからないように部屋出てください。遊園地デートしましょうよ。何時に起きて待ち合わせします?』


だからデートじゃねぇって。
男同士に使う言葉じゃねーだろ、と軽く突っ込みをいれ、メールに返信した。
集合時間には少し驚いていたが、九藤は快く返事してくれた。


それで今に至るわけだ。
九藤は周りをキョロキョロと見回して落ち着かないみたいだけど、そんなこと気にしない。
今はとりあえず朝飯が食べたい。

それにしても遊園地か。
会長様でカッコイイ感じの俺だけど、遊園地はなかなか楽しみであることは絶対に言わないでおこう。
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