そううけっ!

□第五章
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ここは学園から少し離れた遊園地。俺も昔家族で来た覚えがある。
その時は自家用車で来たが…今日は違った。

まさか九藤がバイクを運転できるとは知らなかった。俺は学園にほぼ引きこもりだし、移動は実家の運転手がいるから、バイクにはあまり興味がない。
ただ、バイクを運転したことのない俺にも、九藤の運転は上手いものだということが感じ取れた。
バイクの免許を取れる年齢になったばかりだと言うのに、なぜ運転がこうも上手いのだろうか。そもそも、免許はいつの間に取ったのかという疑問をぶつけてみると、笑顔で誤魔化された。
しかし、バイクで当たる風はなかなか心地よく、目が覚めたので良かったとする。
ただ…バイクで誰かの後ろに乗らせてもらうなんてことは初めての体験だったので、結構怖かったというのは、俺のキャラじゃないから内緒にしとく。


そして、程なくして遊園地に到着した。
ヘルメットを外す九藤は嫌みな程爽やかだった。


「俺、遊園地とか久々だ」
「俺もです。今日まじ楽しみですよ。てか…」
「?なんだよ」


九藤は俺をじっと見る。全身を見られている感じがして、なんとなく背筋を伸ばした。


「今日も先輩…かわいいです…てか私服姿
まじやばい…」
「は?なんだって…?よく聞こえねー」


九藤はごにょごにょと何か言っていたみたいだが…あまり気にしないことにした。
九藤はいつも以上ににこにこしていて、かなりゴキゲンみたいだ。
まあ…遊園地とかテンション上がるよな。
実際俺もテンション上がるし。


ぞく…っ!


「ん?どうかしました、先輩」
「いや…なんでもない…」


なんだか見られているような…そんな嫌〜な感じがしたのだが…気のせいにさせてくれ。


しかし、俺はジェットコースターを何回乗れるのかということに心弾ませたら、そんな不安は消し飛んだ。
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