短編小説
□不良な先輩と僕
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俺に声をかけてきた茶髪さんは口角を少し上げて笑った。そんな気障な仕草もこの人なら許せる。そんなオーラをこの人は纏っていた。
茶髪さんは俺を掴んでいた金髪さんを一睨みした。
「お前…」
「ひっ」
金髪さんはすぐさま逃げていった。俺は今不良界の格差社会を垣間見たような…
「ぶっ!なにその格差社会って〜超うける〜!」
「あ」
何故だか笑われた。……また口に出てた…
ハッとした。時計をガバッと見ると、…やばい。お昼ご飯の時間がなくなる…!
「は?」
「時間がないので失礼します!あ!」
走り去ろうとしたけど、忘れてた、大事なこと。
「助けてくれてありがとうございましたー!」
「な」
これでよし…!お礼を言って俺は立ち去った。
「ぶっ…なんだアレ!チョーうける!やばい〜あの子やばい」
ゆるゆるの金髪が堪えきれないと笑い出した。
うるせぇよコイツ。
本当に平凡なただの高校生。俺を知らないのか、全く恐れず話す。敬語なのは癖だろうか。だからアホな不良にパシられるんだ。その笑顔はごくごく平凡だが人懐っこい印象があった。
「あれ、やなりん楽しそうな顔〜気に入ったの?あの子を」
「はっ、んなことねーよ」
「ふ〜ん」
ああ、暇つぶしだ。
退屈してたとこだからちょうどいい。
そういえば、あいつの名前は何だろうか。
少し、興味が湧いた。