短編小説

□続・不良な先輩と僕
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どうも、こんにちは。
ごくごく平凡な高校生、宮田信でございます。
彼女はできたことがありません。
が…彼氏は今現在います…ちなみに、その人は先輩で…不良、です。


そう…なんか付き合うことになっちゃったんですけど。
そして今日先輩の家にお呼ばれしたんですけど…



やばい。顔がにやけるのを抑えるので精一杯だ。
先輩はとてつもなくかっこいい顔と声で優しく俺に「課題なら俺の家でやれよ」て仰ってくださった。ええ、ええ、甘えますとも。
こんなこと言っちゃあなんだが、先輩は不良のくせに課題とかはちゃんとやってるらしい。
やらずに先生に呼び出される方が面倒だとか言って、やることちゃんとやってるからすごいよね。不良なのに…あ、それは言ったら怒られそうだから絶対に本人には言わないけど。
まあ、「やなりん不良のくせに真面目とかウケる〜!」って沢渡さんが茶化してたら殴られたのを目の前で見たから言えるはずもないけど。

で、先輩も課題があるそうなので、一緒にやろう、という素敵なお誘いをいただいてしまったのだ。

先輩の家は学校から近いらしいので、行き方を教えてもらった。
先輩が部屋をちょっと片づけたいから、という理由で先に帰ったみたい。なんか…そういうの可愛くてキュンときてしまう。

先輩に可愛いなんて思うのはきっと俺くらいじゃないかな。うん、たぶんそう…





「うわ…綺麗なマンション…」


先輩に教えてもらった住所は確かに目の前のマンションを示していた。
信は実家が一軒家なので、マンションの相場とかはいまいちわからないが、高そうだ、ということはなんとなく分かった。
マンションはオートロックで暗証番号がないと入れないらしく、先輩に電話することにした。

そういえば…
先輩に電話するの、初めてだな。
俺の気持ちの問題なのだが、電話よりはメールの方がまだ気持ち的に心の負担が軽いのだ。
だって、電話とか…会話止まったら止まったで怖いし。
緊張しながらも、俺はコールした。


『はい』

うわ!先輩の声…!


電話越しでももちろん変わらずイケメンな声は俺をくらくらさせた。先輩の声って…落ち着くなあ。

「あの、信、です!」
『ふっ、わかってるよ。着いたのか?』
「は、はい。今マンションの前にいます」
『すぐいく』


先輩はそういうと、電話が切れた。

うわー…緊張した。

電話かけてるんだから、よっぽどでない限り本人以外が出ることないだろ…なぜ俺は自己紹介した。
先輩も笑ってたしな…でも、耳元から先輩の声が聴こえるとどうしようもなく落ち着かない気分になった。ああ、もう。こんなんでどうするんだよ、俺…
俺はそわそわと落ち着かない気分で、先輩を待っていると、程なくして先輩がやってきた。



「信、来てくれてありがとう」
「いえ、先輩こそ急に呼んでいただいてありがとうございます」


素直に先輩に笑顔で礼を言うと、先輩は俺に近づき、俺の肩をつかんだと思うと、ぎゅっと抱きしめてきた。


「せ、先輩?」
「あんま可愛い顔すんな。抑え利かなくなるだろ」
「う、ええ?!」


俺がいつ可愛い顔をしたのだろうか。先輩の顔こそ見えないけれど、きっと先輩は照れているのかもしれない。かっこいいけれど、真っ直ぐで、純粋なそんな先輩が俺は好きでたまらないのだ。



「ふふ、先輩のお家来れるなんて…嬉しいです」
「…お前なぁ…」


思わず本心が口をついて出たら、先輩は俺の肩口で盛大にため息をついていた。


「俺の理性を試してんのか」
「…?どういう、ことですか?」

先輩の言う意味がわからず、聞いてみると先輩は顔をわずかに紅く染めた。

「…もういい。さ、部屋いくぞ」
「は、はい!」



先輩は体を離すと、俺の手をとり、マンションに誘導した。その動作があまりに自然で、俺はちょっと照れくさくなった。先輩の耳も少し赤くなっていて、俺は心が弾んだ。

あ、そういえば先輩が何かぶつぶつと言っていたけれど、そこはあんまり気にしないでおこう。



宮田信、先輩のお宅に突撃訪問、してきます!
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