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□君攻略〜天然ちゃん編〜
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初めて、彼に出逢ったのはまだ幼稚園に通っていた頃だ。




祖父の昔からの友人の家に遊びに行くことになったのだ。
当時から人見知りだった僕は幼稚園でも中々友達ができず、両親を悩ませていたのは僕も知っていた。

そこで、祖父の友人の孫ならきっと仲良くなれるだろうと両親と祖父が仕組んだのだった。

(でも、今になって考えれば、優しい祖父は半分押し切られた感じがしていたけど………)

余計なお世話だと子供心に思っていたが、そんなのお構いなしに両親は僕を送り出した。



知らない町。
知らない人達。
友達の一切いないその場所で僕の硝子細工より繊細な子供心は今にも壊れそうになっていた。


―――……が、そんな僕に転機が訪れる。





祖父の手を離すことをせず、そのまま祖父の友人とその孫に会うことになった。



「よく来たなコザァート」

「呼んでくれてありがとうジョット。この子が孫の炎真だよ。……炎真、挨拶しなさい」

「……………………こんにちは」

「初めまして炎真。私は君のお祖父さんの友人でジョットだ。今は沢田家康と名乗ってる」

「…………………」



金髪のこの好青年が僕の祖父の友人だとは思わなかったが、自分の祖父を見れば納得せざるおえない。



「上がってくれ。綱吉に会わせたいしな」

「お邪魔します」

「………おじゃまします」

「綱吉ー。じいちゃんの友達がきたぞー」



ジョットさんが二階に呼び掛けながら僕らを客間に招いた。
すると、二階からどたどたと階段を降りてくる音が聞こえてきた。



「!」

「おじいちゃん、この人……?」



一瞬だった。
恋に落ちるなんてよく言ったものだと思う。いや、一瞬なんて時間も必要なかった。
だって、一目惚れに一瞬という言葉なんて意味がない。



「さわだつなよしです!」



笑って僕の手を握る彼はまるで天使だ。
驚きに声がちゃんと出なかったけど、なんとか僕も名乗ると彼は嬉しそうにまた笑った。



「えんまくんとつっくんは、もう友だち!!」

「…………!」



ぎゅっと強く抱き締められた。温かい彼の背に手を回して、小さく小さく呟いた「よろしく」も彼は受け取り、また嬉しそうに笑った。



























その淡い恋が叶う日はいつ来るのだろうと、ただいま君攻略に奮闘中です。































取り敢えずお祖父ちゃんに聞いてみようかな………






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