万太郎「巻きますか、巻きませんか?」

□カラクリ超人!?薔薇乙女ここに見参!
3ページ/22ページ

イリューヒンの危機に駆け出したのは、万太郎のセコンドであるミートであった。
ミートは、ギリギリの所でイリューヒンを助けた。
だが、その衝撃でミートの足から鈍い音が響き渡った。

「うっあぁ!」

「ミっ、ミート!」

「お〜っと、ミートがイリューヒンをキャッチ!しかしミートは無事なのでしょうか!?」

「だ、大丈夫かミート!」

キッドやセイウチンも急いで駆けつける。

「おい、見ろ! ミートの両アキレス腱が切れてやがる」

キッドが悲痛な面持ちで声を上げる。

「も、申し訳ございません、二世」

万太郎に抱えられたミートがゆっくりと口を開けた。

「ミ、ミート…」

急いで駆けつけた救護班が二つの担架を持ってきて、イリューヒン、ミートを乗せた。

ミートが運ばれるのを見送ると、万太郎は鋭い目付きでリングを見上げた。

「ケビン!! 僕はお前を許さない!!」

万太郎はケビンを指さして糾弾した。

だが、ケビンは悠然と構えている。

「ふん、そういうものは拳で語るもんだ。最も、ミートのいなくなった貴様に、語れる程の力があるとは思えんがな」

「な、何を〜!」

万太郎は怒りを露にしている。
すると、ケビンのセコンドであるクロエが、ケビンと同じくリングの上に立った。

「万太郎よ、断言してやる。ミートのいないお前など、ケビンと私のコンビに一分と持たん!」

「う、うぅ…!」

「決勝戦を楽しみにしておけ…!」

「うぅ……あぁあ…!」

イリューヒンの無惨な姿が脳裏によぎる。万太郎の顔は、みるみる青ざめていった。

胸は抉られ、両腕がもがれたイリューヒンの光景は、戦歴の浅い万太郎に深い絶望を与えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ