万太郎「巻きますか、巻きませんか?」
□カラクリ超人!?薔薇乙女ここに見参!
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イリューヒンの危機に駆け出したのは、万太郎のセコンドであるミートであった。
ミートは、ギリギリの所でイリューヒンを助けた。
だが、その衝撃でミートの足から鈍い音が響き渡った。
「うっあぁ!」
「ミっ、ミート!」
「お〜っと、ミートがイリューヒンをキャッチ!しかしミートは無事なのでしょうか!?」
「だ、大丈夫かミート!」
キッドやセイウチンも急いで駆けつける。
「おい、見ろ! ミートの両アキレス腱が切れてやがる」
キッドが悲痛な面持ちで声を上げる。
「も、申し訳ございません、二世」
万太郎に抱えられたミートがゆっくりと口を開けた。
「ミ、ミート…」
急いで駆けつけた救護班が二つの担架を持ってきて、イリューヒン、ミートを乗せた。
ミートが運ばれるのを見送ると、万太郎は鋭い目付きでリングを見上げた。
「ケビン!! 僕はお前を許さない!!」
万太郎はケビンを指さして糾弾した。
だが、ケビンは悠然と構えている。
「ふん、そういうものは拳で語るもんだ。最も、ミートのいなくなった貴様に、語れる程の力があるとは思えんがな」
「な、何を〜!」
万太郎は怒りを露にしている。
すると、ケビンのセコンドであるクロエが、ケビンと同じくリングの上に立った。
「万太郎よ、断言してやる。ミートのいないお前など、ケビンと私のコンビに一分と持たん!」
「う、うぅ…!」
「決勝戦を楽しみにしておけ…!」
「うぅ……あぁあ…!」
イリューヒンの無惨な姿が脳裏によぎる。万太郎の顔は、みるみる青ざめていった。
胸は抉られ、両腕がもがれたイリューヒンの光景は、戦歴の浅い万太郎に深い絶望を与えた。