おはなし
□頑張るあなたと
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「ツナーーもっと早くー!」
「むっ、無理言うなよ!これが精一杯!」
がしゃがしゃと、ツナは私を後ろに乗せた自転車を漕ぐ。
もう結構長く使っている自転車だから所々錆びてはいるのだけど、この程度のスピードが限界なんて…私が重いのが原因なのは明白。優しいツナは口にしないけど、自分で気付いてしまうのも悲しい。
つい、ツナの肩に置いた私の手にぐっと力を入れる。
「…ツナ、なんだか筋肉がついたみたい」
「え、そう?」
「うん。たくましくなったね!」
リボーンくんとバジルくんのおかげだね、と笑って言うと、ツナは少し苦笑いをしたみたい。
でもツナの努力の賜物、っていうことは分かってる。ツナ自身が強くなりたい、と思って頑張ったからこその結果。分かってるけど、本人に直接言わないのはまた調子に乗るから。へらへらして、ちょっと叩きたくなるんだよね。
「でもツナ、今日は修業いいの?」
今日は珍しくツナから誘われた。毎日欠かさずに山へと修業しに行ってたはずなのに、と思いながらも、久しぶりにツナと遊べる!と思ったら嬉しくてこうしているのだけど、本当は修業しなきゃいけない身じゃなかったのだろうか。
リボーンくんから逃げてきたとか言うなら、リボーンくんに申し訳なさすぎるし。
「たまには、休憩しなきゃやってらんないよ」
「そっか」
ツナが普通に答えるので、リボーンくんから逃げたとかそういうのでは無さそう。リボーンくんにお休み貰えたのかな、リボーンくんいいことするね!
「それにさ、」
「ん?」
「俺だって、おまえに逢いたいんだよ」
ぽつりと、淡々と言ったツナの言葉に私は絶句してしまった。
ツナが漕ぐ自転車のスピードは変わらなくて、私だけがどこか動揺しているみたいで。少し悔しいけれど、ツナの言葉はすごく嬉しい。
「ツナー好き!」
「う、わっ!こら、危ないって!」
腕をツナの首に巻き付けて、ツナの肩へ顔を寄せると、ツナは驚いたようでぐらっと自転車が傾く。けれど私のバランス感覚がいいおかげで、これくらいじゃ倒れたりなんかしない。
体勢が少しつらいけれど、ツナの体温と風が気持ち良くて。
ツナの耳がしだいに赤くなってゆくのに気付くまで、私はずっとツナにくっついていた。
たまにしか言わない、ツナの私への"好き"の気持ちが私はだいすき。
私をこんなにどきどきさせてくれるのは、世界でたった一人だけ、ツナだけ!
*
まだ中学生ですからね、好きっていうのはきっと恥ずかしいはず。
そんなツナが愛しいです^^
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