おはなし

□CHILD
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ここ数日間、ターゲットを監視していたがどうやら彼は妻と2人で暮らしているようだ。
2人の間に子供等の邪魔になるような障害はなさそうだし、任務を遂行するにあたって然程苦労はないだろう。あと1週間もしない内にリゾットへ完了の報告ができそう。


しかし、この夫婦。
ディ・モールト!すばらしい!

毎夜毎夜、飽きもせず口喧嘩を絶やさない。
普通の口喧嘩ならまだ良いが、奴らの口喧嘩はいつも性行為についてだ。勃たないだとか感じないだとかあの体位がいいだとかそれこそこんな所では言えないディープな内容まで大声で叫びあうのだ。
こうしてそばの公園から観察をしているオレにもその声が届くのだから、きっと隣の家にも丸聞こえなのだろうな。

こうまでセックスの相性が合わない2人がどうして結婚をしているのだろうか。
非常に興味深い話だったが、殺してしまえば同じか。と考え直して任務遂行のチャンスを窺った。







その2日後、オレはターゲットの血液を入手して(その日の喧嘩は凄まじく、妻がナイフを投げつけ夫を負傷させたのだ。その残骸からこっそり頂いた)ベイビィ・フェイスを発動させるべく妻に近づいた。
別に妻じゃなくとも相応しい女はいくらでもいるが、彼女の性癖が気になったのもあったからな。(結婚をしたのに子供を授からなかったのも可哀想に思えたんだ)
まあ思っていたよりは普通の女だったが、受胎完了後の彼女はヴェネだ。人生すら後悔しているような発言をしたかと思えば夫の悪態をつき始めたり急に泣き叫んだり。オレでも、彼女は狂っていると思えた。
ベイビィ・フェイスの教育もうまくいき、無事にターゲットを仕留めることもできた。

やはりこの仕事はイイ。
オレの生き甲斐だ。




後は報告をするだけ。
期日にはまだ日にちがある、少しこの街で過ごそうか。
一先ず、オレはターゲットの家に侵入してみることにした。もう持ち主はいないのだから咎められることはない(侵入という言葉も可笑しいかな)。
家を捜索すれば何か面白いものが見つかるかもしれない、とわくわくしたんだ。


その行動は、間違っていたのだろうか。



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