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□無色透明
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ワインレッドとゴールドのオッドアイ
綺麗じゃないですカ?
陰湿な人間の澱んだ色なんかより。
無色透明
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cosa per proiettare diritto
「なあに、帽子屋さん…
ずっと僕を見てるけど」
約10分。
ワタシの視線がくすぐったいのか、ヴィンセントはそう尋ねてきた。
「イイエーなんにも。
見てちゃダメですカ」
「そんなことないけど…
気になるじゃない…?」
何かついてるみたいで、とでも言うかのように苦笑いする。
ああ、まあギルバートくらいならヘタレの紙でも貼って笑ってやるんですがネ。
「何も気にする部分はないですヨ?
ワタシが見てるのはアナタの瞳ですカラ」
彼はそれに一瞬きょとん、とした表情をみせる。
「そんなものをずっと見てて楽しい?」
少し間をおいて、そう返してくる。
過去に散々あったからか、少し笑顔が陰った。
しまったな、言葉が足らなかったか。
自分の失言に気付き、謝るようにヴィンセントを抱きしめる。
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