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□甘いもの
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ガリガリガリ。
ごくん。
飴を噛み砕く音が聞こえた。
甘いもの
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Frutta dolce e dolce
「ねえ、帽子屋さん」
「ハイ?
なんですカ」
疑問の色を瞳に浮かべ、僕を見ているのは片目の紅。
本人はというと、次の飴を開こうと手を伸ばしている途中だった。
…健康な歯なんだね、アナタは…。
「ずっと…思ってたんだけど
アナタはなんで飴を噛み砕くの?」
噛み心地でもいいのだろうか…?
それとも音が楽しいのか。
僕にはない食べ方が、少し気になった。
彼の瞳は疑問の色を消し、逆に愉快そうな色を宿した。
「なんでだと思います?」
「え?
えっと……」
逆に問われ、僕の予想を自信なく言葉にする。
少し語尾が上がって疑問系になってしまった。
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