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□束縛の糸を解いて
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きみは過去に縛られて
現在も 未来も
見えていないのだろう
どうかその瞳を……――
束縛の糸を解いて
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Io voglio crescere
con lei Il presente
「だからなんでアナタはそうなんですか…!!」
感情が爆発した。
血が沸騰したかのように体が熱くなり、言葉にコントロールが効かない。
ワタシの目の前の彼は少し不愉快そうにワタシを見つめる。
「…だってそうでしょ…?」
あの出来事がなければ、兄さんは悲しまない
それなら自分がやることはひとつだと。
どこまでも純粋で、ひどく歪んでいる。
「アナタは…ッ」
「そうでもしないと
…そうでもしないと、僕が生きていけない」
わかっている。
あの時代に、瞳を理由に酷い言葉を投げかけられて。
心が成長するに必要なものが無かった彼には、理由がいるのだ。
あの雪の中で見た笑顔に、たしかにそれを感じた。
だけど、ワタシはそんな理由を持って欲しくないのに。
「…………ッ」
「だからさ…、邪魔…しないでくれる…?」
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