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□眠りに落ちたら
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眠る、眠る、眠り鼠
今日はアナタ、どこにいるんです?
眠りに落ちたら
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Venga ad andarlo a prendere
「…………いた」
雨の降る午後。
夕焼け空も雲に覆われ、晩のような暗さの道。
小さな両腕でヴィンセントを抱えて走る、青い少女が。
「エコーくん」
声をかければワタシの手前で停止し、はい、と抑揚のない声で応えた。
「なんでしょうか。」
「きみが抱えてるのは…」
「ヴィンセント様です。」
「いやそれはわかるんだけども」
明らかに少女が抱えるには大きすぎる彼が、予想に違わず眠っていた。
…一般的な場面なら、構図は逆だ。
「どこで寝てたんですカ」
「屋敷前の階段の、始まりのあたりです。」
「…………」
そんな微妙なところに。
チェインの扱いが苦手なのは変わらないようだ。
そうですか、と小さくため息を吐き、少女に手を伸ばす。
「なんですか?」
「重たいでしょう?
ワタシが運びますよ」
実際、気遣いではなくただ
彼が自分以外に無防備に体を委ねているのが嫌なのだが。
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