text

□ひとつだけ願うのなら
1ページ/2ページ


七夕。
それは、天の恋人が一年に一度の逢瀬をする日。
それを祝い、何故かお願い事までするのがこの世界のおもしろい習慣。

ここも例外なくそうだった。





ひとつだけ願うのなら
------------------------
Oggi inondi con un sorriso




七夕前日。

「はーいみんな、短冊はもらったかな?」

そう、笑顔で語りかけるのはジャック先生。
この育成所で、生徒に色々なことをしてくれる先生だ。

そのジャック先生が言う短冊を、今配っているのがシャロン先生。
ジャック先生とは反対で、やさしいのだが悪さが過ぎると鬼のように怖い。

…短冊が、最後のエリオットへと手渡される。

「じゃあ書くものを持って。
お空のおりひめさまとひこぼしさまに、お願い事を書くんだよ」

はーい、と響く声。
それを皮切りに、こども達は分散した。





「ねえアリス、
アリスは何をお願いするの?」
「わたしは‘たべものがたくさんたべれますように’にする!」
「あはは、アリスらしいね」

「エリオットくん…
なにをかいた…?」
「…‘だいじなものをまもれるようになりたい’」
「ふふ…
すてき…だね」



「………」

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ