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□残酷な言葉だけれど
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苦しくて締め付けられる
痛みは切り刻むようで
…痛いのは、いやだ。
残酷な言葉だけれど
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Voglia che Lei sia a qui
ヴィンセントが、珍しく泣いていた。
別に泣いていることが珍しいのではなく、
その原因に対して我慢や気にしないことが出来なくなっていることが、珍しくて。
どれほどの言葉を投げかけられてしまったのか
応えてくれない彼は、ワタシが宥めても泣き止みはしない。
困って無言で彼の背を撫でていると、ぽつりと小さく呟いた。
「……、の……ない…」
「…ヴィンセント?」
「こ…な、……いらな…」
嗚咽混じりで聞こえないが、二度目の言葉で理解した。
“こんなものいらない”と、言っている。
こんなものが何かはわからないが、嫌な感じがして。
抱きついている彼を離し、目線を合わせる。
…憔悴しきって、瞳が暗い。
「どうしたんですか」
「……、痛い…いやだ…
痛い…なら、いらな…い」
「何がいらないんです?」
この時代は紅い瞳に対しては何も差別はないはずだ。
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