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□理由はなんだっていい
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「痛イ」
複雑な表情をしながら、
彼は今日もここへ来る。
理由はなんだっていい
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Se io posso incontrarLa
「こんにちは。
今日もなの…?」
「エェ、お察しの通り。
最近は力加減もしてくれなくてネェ…」
「くすくす…
あなたが言葉に加減しないからじゃない…?」
そんなやりとりを交わす。
それなりに痛いのだろう、頭を抑えてこちらへ歩いてくる。
昔からそうだけど、彼は主によく叩かれる。
ハリセン…とかいう紙の素材の脅威的な威力で、たまに出血して倒れたりも。
それは彼の失言に態度に、
とりあえず罰としてよく使用されるそうで。
避ける暇は、ないらしい。
僕は叩かれた部分を見てみる。
「…少し血が出てるよ。
何を言ったの?」
「いえネ、お嬢様が
『乙女の体重は真っ赤に熟れたりんご3つ分ですのよ』と言うから…ちょっと、ネ」
言えないということは自覚があるらしい。
からかったら反撃をくらったということなのだろう。
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