text
□Voice in noise
2ページ/9ページ
「いやー、いい朝ですネェ
小鳥のさえずりが麗しいですヨー?」
「そうだね。
オレにはブレイクの笑顔が不愉快なまでに麗しいんだけど」
「あっはっはー、言ってくれるじゃありませんカ」
けたけたと、楽しそうに笑う。
この言葉遊びを楽しんでいるあたり、今朝も随分平和だと思う。
多分そのうちアリスの朝食催促の怒号が響いてくるのだろう。
オレは窓の向こうの空に視線を移す。
(―――…まだ、昨日のことなんだな)
ラトウィッジ校で、バスカヴィルの3人と出会ったのは。
発端はオスカー叔父さん。
動機は省くが、そこで色々なことに気付いた。
ロッティという女に言われた言葉は、自分としてはなかなか堪えた。
『…坊やは、れっきとした「加害者」だわ―――』
その意味を言葉にしたのはギルの義弟のエリオットだったが…
オレがしてきた「加害」を、気付くきっかけともなった出来事だったと思う。
ただ、まだ何か
何かひっかかっている気がするのは、何故だろう?
この「加害」の言葉がひっかかるようなものが、まだ何かあるのだろうか。
だとしたらそれは……―――
「ばー。」
「……ッ?」
考え込んでいたのだろう、いつの間にか目の前にブレイクがいる。
しかも、いないいないばあー的なノリで。
オレは驚きのあまりに言葉を失う。
.