text
□てのひら
2ページ/3ページ
ガチャ。
扉が音をたて開き、その向こうから現れる来訪者の影。
「…おやおや
随分と荒れた部屋ですネェ」
ザークシーズ=ブレイク。
彼は右目だけであたりを見回し、切り裂いたオズ人形の残骸達にそう感想をもらした。
僕はオズ人形に嘲笑と憎しみを向け、笑った。
「気に入らないから」
それに彼は少々表情を消したけれど、僕に近付いてきて、頭を撫でてくれる。
「寂しがりやさんですネェ
今日はワタシが居ますから、相手しますヨ?」
「うん…」
ぎゅ。
心持ち少し強めに、彼の服の裾を握りしめる。
昔から彼は僕にやさしい。
飄々としていながら、いつだって僕を見ている。
寂しくないように、狂気にのまれないように。
僕はそんな彼が、すきだ。
「ザクス兄さん…」
「何ですカ?」
.