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□位置
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「どうしてそんなに気になるの……?」

ふわ、とワタシに被さってくる乱雑に跳ねた金糸。
さっきまで椅子の縁から視線だけ送っていたワタシに、やわらかく触れてくる。

しかし近付くために立った彼はワタシより上から見ていて。
なんだか嫌なので上体を転換して引き寄せ、腕の中に閉じ込める。

「知ってます?
アナタはお嬢様の言うあちらの世界の右側属性なんですヨ」
「ふうん…?」
「そのアナタがワタシとほぼ変わらないだなんて…」

なんだか説明し難い感覚がしてくる。
曖昧な感覚と言い表せないもどかしさが、この上なく不快だ。

「ふふ…」
「…何か可笑しいですカ?」
「ううん…?
そんなに僕に固執してくれて嬉しいよ…?」

固執ときたか。
まあ間違ってはいないのだが。

「僕はキミが抱きしめてくれるのなら何も文句はないし…
近いからさ、…少し背伸びすれば届くじゃない?」

そう言って触れてくる右の指がワタシの唇をなぞる。
全く、一々動作が艶めかしい。

「…絶対上から襲いかかってやる…」
「あれ…煽っちゃった…?」
「素で煽れるアナタに敬意を評しますヨ」


悪戯心も込めて、そのままキスで言葉を塞いだ。








(僕は同じくらいでいいことたくさんあるよ)
(なんです?)
(ふてくされるアナタの表情がよくみえる)
(………)





2009.08.26
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