text
□交差二重恐怖
2ページ/3ページ
「ワタシの読みが外れているというのなら、何故今逃げようとしたんです?」
「驚いた、から…だよ…」
「じゃあ今も逃げようとしてるのは何故です」
…鋭い。
これでは逃げ切れない。
実際、彼がここに現れる直前まで、僕は気が沈んでいた。
僕は誰かをがんじがらめにしないと生きていけない。
なのに僕はそれを甘んじてくれる人を拒絶する。
僕にやさしくしてくれる稀少な人を、僕で汚したくないと。
「………」
「図星ですカ?」
「……めてよ」
ハイ?と聞き返す声が、僕の感情を掻き乱す。
僕にさわらないで
僕にさわらないで…!!
「やめてよ…!!」
やさしくしないで
僕はきっとあなたをがんじがらめにしてしまう。
挙げ句拒絶してしまう
それであなたに見放されでもしたら、僕は僕を認められない。
あなたに拒絶されるのが、こんなにも怖い。
「………」
「あなたには…果たす約束があるんでしょ…?
僕なんかただの駒じゃない」
今のうちにあなたを離しておけば、きっときれいなまま
僕は遠くから見ていたらいい
だから、
.