名前なんて決められないッ!
□にーい
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映ったのは青い右目と緑の左目、夜空のような深い濃紺の髪、そして、俺には男とも女ともとれる、いや、しいて言うならば男ととれる中性的な十二年程前とは違う顔をした俺。
・・・う〜ん、いつ見ても“俺”の顔と違うなぁ。
いつ俺って整形したのかよ。
あれか?あの小さくなった頃らへんからか?!
ちょ、もしこの顔で珠香さんに会ったら俺って認識されなくね?
・・・まぁ大丈夫だよな!
きっっっと珠香さんは分かってくれるはずだ!!・・・といいなぁ〜。←Σ願望ぅぅう?!
うん、たぶん絶対大丈夫だと思うッ!!←どっちだよ?!!!
俺は一人で納得してピアスが付いているらしき右耳に視線を動かした。
・・・あれ?
なんにも付いて・・・あっ。
逆だ!!!なんで鏡から見て右を見てんだ俺!!!(恥)
俺は改めて右耳を見た。
俺の耳には元から付いていたかのようにとてもピアスが馴染んでいた。
穴が空いた気配もなかった。
試しに俺はそれを引っ張ってみた。
「いて・・・Σあれ?!何でとれねーの?!!」
ピアスは引っ張っても耳から離れなかった。
俺はその事にまた焦って更に引っ張った。
それを見ていたライさんは、
「ちょっと、ヒビキがものすごく可愛いんだけどッ!!カメラ、いや、ムービーに撮りたいッ!!!」
・・・悶えていた。
そんなライさんを見たクジナさんは少し諦めたように息を吐くと、必死にピアスを引っ張っていた俺の手を掴んだ。
「おい、ヒビキ。引っ張りすぎだって。」
「Σんアッ!!びっくりした〜!!何だよクジナさん!!!急に俺の手を掴むなよ!!!」
おかげで驚いてマヌケな声が出ちまったじゃねーか!!!
「すまんすまん。でも引っ張りすぎるともげてしまうかもなーと思ってな!」
「Σハァ?!もげるって何が?!」「耳。」
「Σ即答かよ!!!」
てか、耳ぃい?!!
え、耳ってどの耳?!
まさか顔の側面についてる耳?!!
てか、これしか無いよな!!!
耳がもげるってモロ?!
モロもげるの?!!
もげたら血ぃどっばどば出んじゃん!!!!
「それってグロッ!!!てか、多量出血で死ぬじゃん?!!」
「え?!ヒビキ死んじゃうの?!!そんなの私許さないんだから!!ヒビキを狙う奴なんて私がこr・・・返り討ちにしてやる!!!」
「ちょ、俺死なないから!!死ぬ予定もまだ更々ないからぁあ!!!マジでライさん武器構えようとないでぇえええ!!!!」
しかもちらっと恐ろしい本音出てたんですけどぉおぉおお!!!
絶対殺すって言いかけたよねぇぇええええ?!!!
俺はマジで目が据わっているライさんを必死に止めていた。
そんな俺をクジナさんは手伝ってもくれず、爆笑して転がっていた。
クッソゥ!!クジナさんなんか夜道で後ろから刺されちまえばいいのに!!!
てか、俺が刺す!!!!←
俺はクジナさんに心の奥底から恨みを込めて睨んだ。
それでもクジナさんは悪びれもせず、笑い続けていた。
てか、ライさん!!!
本当に武器おろしてぇぇえええ!!!!
〜〜〜数十分後
「ごめんね、ヒビキ。つい我を忘れちゃって・・・」
ライさんは眉を下げて申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
「・・・別に怒ってないけど。てか、クジナさんマジありえねぇ。」
「?クジナがどうしたの?・・・・・あぁ、あれ。」
クジナさんはもう数十分は経ってるのにまだ笑い続けていた。
「ヒビキ・・・今は気にしちゃダメだよ。」
「・・・分かってるし。それで、何でこれとれねぇの?」
俺はそういってピアスを引っ張ってみせた。
すると、ライさんは手をパチッと鳴らして合わせた。
「あぁ!!それはね、私も良く分からないよ!!」
「ヘェ〜そうなんd・・・って分かんねぇのかよ!!」
「ごめんねー。私も左耳に小さい頃から付けてるけど、取れないんだ。」
「じゃぁ何故に俺に(無理矢理)付けさせたんだぁぁああああ(涙)」
「それは私とお揃いがよかったからに決まってるじゃん☆良かった〜、小さい頃片方しか付けなくて!」
・・・俺はあんたの都合で無理矢理、無理矢理されたのかよ(泣)orz
俺はあんた等のおもちゃじゃねぇんだぞ!!
ふざけんなコノヤロー!!!
あ、ライさんは女だからコノアマーだった・・・
俺はくだらない理由だったのにショックを受け、膝を抱えて座り込んだ。
「え?!ちょ、え?!・・・ヒビキ?ヒビキ?拗ねたの?拗ねちゃったの?拗ねてたら、何だかわかんないけどごめんねー。」
ライさんは俺の肩に手を置くと顔を覗き込んできた。
拗ねてねぇよ、バカー・・・。
俺は内心そう思いながら顔を背けてから耳を塞いで返事を返さなかった。
「ヒビキー、ヒビキー。顔あげてよー。私、ヒビキの顔見えないと淋しいよ。ほら、もう特別にヒビキにこれあげるからさー、ね。だから顔をあげてよーヒビキ。」
必死?にライさんは俺に声を掛けてきた。
その声に紛れてシャラシャラと金具がこすれる音がした。
俺はそれでも返事を返さなかった。
「ヒビキー。もー、顔をあげてよぉー。」
すると、ライさんは俺を前後に揺すり出した。
それに合わせて金具がこすれる音も激しくなった。
・・・ちょっと、揺らすの激しいって!!
ロック?かヘビメタ?、まぁ、どっかのライブの首振り並に俺の首がカッグンカッグンんなってるんですけどッ?!!!
首吹っ飛ぶ!!!
俺の首が吹っ飛んで某首無しライダーみたいになるッ!!!
てか、その前に、酔う゛ッ・・・!!!!
俺は思いっきりライさんさんの腕をつかんで揺らすのを止めた。
「ラ、ライ゛さん・・・ちょ、きも゛ぢわる゛・・・」
「わわ、ごめんヒビキ!!ふざけ過ぎた!!!」
俺がそうライさんに訴えると慌てて背中を摩ってくれた。
・・・クジナさんは今だに笑っていた(怒)
だが、今の俺にはそんな事を気にしている程余裕では無かった。
「は、きそ・・・ッ。」
俺はそう言いながら吐き気に耐えようと更に俯こうとした。
その時、キラリと何かが光を反射して光ったのが見えた。
・・・ッ眩し。
その光がちょうど俺の目に入った。
それからの行動はただの気まぐれだった。
いつもの俺の行動だったら、きっと心の中で文句を言いながら気にしなかっただろう。
ただの気まぐれ、その気まぐれで俺はその眩しかった原因を見た。
そして、時間が止まってしまった様な気がした。
その原因のものはネックレス。
ライさんの腕にかかっているネックレスだった。
「?どうしたの、ヒビキ?」
ライさんは腕にかかっているネックレスとそれを見て固まってる俺を見くらべながら声を掛けてきた。
しかし、その言葉は今の俺には耳に入らなかった。
俺はそのネックレスにおそるおそる手を延ばした。
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